蹴りたい顔面と苔
その人が視界に入ると苛々する。
そういう人がどの職場でも、たいてい、一人はできてしまう。
新卒で入社した会社にもいたし、書店員をしていた時にも。
学校司書をしていた時にはいなかったかも。
いまが一番最悪。
一人しかいない上司が、その、視界に入ると苛々する人になってしまったのだから。
塾の仕事というのは、確かに、子どもたちがいない間は暇で、でも、やろうと思えばいくらでもやることは見つかる。
テストを作ったり、より良い授業をするための準備をしたり、授業料のお知らせのデータ作成を効率化したり。
まあ、探せばいくらでも見つかる。
そういう点では、学校司書の仕事というのも同じかも。
暇な時間を暇として過ごそうと思えば、そうできてしまう。
そうしなかったのは、なぜなんだろう。
やっぱり、自分が腐っていくことを許せないという部分が大きかったのだろうと思う。
いまは、どちらかと言えばその逆で、自分の努力の大半はこの人の懐に還元されていってしまう、というマイナスの感情が強い。
子どもたちがいない時間の上司は、煙草を吸うか、お菓子を食べるか、パソコンをかちゃかちゃしているか、寝ているか、のどれか。
普通、寝るかな、部下の前で。
そういう姿が目の前にある、というのはなかなかにこたえるものがある。
自分はそうはならない、という意志とは無関係に、何かが壊され、何かが失われたような感覚だけが膨れ上がっていく。
自分のやる気やモチベーションを他人のせいにする、というのはあまり好きではないんだけど、こればかりはどうしようもない。
話は変わるけど、
苔を育てたい。
苔に惹かれる。
この本を図書館で借りてきてから、苔を育てたくて仕方がない。
苔は育てるものなのだろうか。
どちらかというと、育つもの、という感じがする。
やさしい気持ちにさせてくれ。