風と雨

楽しいふりをしてないかって、いま、だれかに訊かれたら、すぐに首を縦に振れるだろうかと考える。

たぶん、楽しさは風みたいなものなんだろう。
瞬間的で、そんなに持続しない。

子どもの頃は毎日が台風の日だった。
現在はもう、めったに台風はやって来ない。
それどころか、そよ風も。

と思ったりもするんだけど、それは本当に本当だろうかと考えたりもする。
同じように吹いている風を自分が感じなくなってしまっただけなのかもしれない。

それなのに、雨に濡れることにはひどく敏感になってしまった気がする。
それはつまり、悲しさということ?

普段からこういうことを思っているわけじゃないのに、書きはじめると、その先が見えてくる。

風を感じないのは、もしかしたら、外側を鎧のような何かで覆っているから?
それとも、風が入ってこられない窓の内側にいるから?

裸になることは恐ろしい。
それこそ、ちっちゃな子どもの頃は平気だったっけ。

そういえば、屋内にいても、雪が降ると風がよく見える。

なんのことだかよくわかんなくなってきたな。
とにもかくにも、楽しそうな人も、本当は楽しくないのかもしれない。
と思ったらすこし気が楽になる気がする。